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(2007年) 平成19年5月3日(木) |
集団的自衛権 〜基本的に考えよう〜 |
戦争の目的が変わった。 過去の戦争は、国益のための戦争であった。正義の戦争とか聖戦という言い方は、戦意高揚のための言葉であり、戦争当事者双方が言い合っていた。結果は、勝てば官軍。正義の御旗は、勝者に授けられる。 今は、国益のための戦争には「サヨナラ」だ。現在の戦争は、第一に、脅威が国家主体ではなく、国境を越えたテロリストだ。また、国家主体の場合は、大量破壊兵器をもつ専制主義国家である。そして、守るべきは、人類益、国際益である。テロや専制主義国家は、人類共通の敵である。国際益、人類益を守るための担保が国際連合である。 われわれは、今、世界平和と人類の幸せのために、テロや大量破壊兵器、民族紛争や宗教戦争と闘わなければならない。戦争が変わったのだ。 憲法9条の解釈 憲法9条は、このように国益のための戦争を念頭に置いて戦争を放棄したものと思う。 従って、自衛のための戦争以外は、禁じている。当然のことである。解り易く言えば、日本国の領域以外で、すなわち外国で、国際紛争を解決するために、武力を行使してはならない外国では自己防衛のための武器使用ができるのみである。 専門家は従って、理屈をこねて「武力行使」と「武器使用」を区別する。天才的造語も出来上がった。 「後方地域支援」「非戦闘地域」 周辺事態法では、日本の周辺で有事が起きた場合、後方地域で米軍を支援することができる、としている。後方地域とは戦闘が行われていない地域であって、従来の後方支援に地域を加えた天才的造語である。これにより米軍の武力行使と一体化しないとの解釈である。憲法9条に抵触しないようにとの理屈であるが、外国から見れば、自己満足の理論であろう。 イラク特措法でも「非戦闘地域」という法律用語をつくり出した。もちろん、他国の軍隊が襲撃されても、イラクでは日本の自衛隊は駆けつけて救援することはできない。救援できるのは、「自己の管理下に入った者」に限られる。 その他、米国を狙ったミサイルを日本のミサイル防衛が迎撃はできない。インド洋で活動する日本の自衛隊は、他国と共同作業でテロ退治をやっているのに、他国の船舶を防護できない、などと、国際的に人類益を守るための共同作業であるのに、日本の自衛隊の行動は限定される。 政府の「安全保障の法的基盤の再構築に関する懇談会」で上記の四類型を中心に議論が始まったが、四類型はそれとして、私は、もっと基本的な議論をすべきと考える。 国際平和を支援する国 日本は平和を唱える(Peace−Loving)国にとどまってはいけない。憲法前文にもあるとおり、「われらは・・・国際社会において、名誉ある地位を占めたいと思う」のであれば、平和を支援する(Peace−Supporting)国となるべきである。平和をつくる(Peace−Making)国となるかは、今後の課題であるが、私は、平和をつくる国にはなる必要はないと思う。平和をつくるためには、血を流さなければならない場合もあろう。イスラエルのラビン首相に会った時のことを思い出す。「PKOは血を流さなくてすむ。しかし、平和をつくるためには血を流さなければならない時もあるのだ」。ラビン首相は沈痛な面持ちで語っていた。 人類益を守るための国際社会の共同作業には、役割り分担があってもよい、と思う。それは、ミサイル防衛やインド洋で海上自衛隊が行っているテロ防止活動のような被害の未然防止策であり、また、イラクにおける陸上自衛隊の活動のように人道復興支援活動である。日本はこれらの国際活動を積極的に進め、人類益を守る共同作業の重要な一員となるべきである。 問題は、憲法9条では、集団的自衛権は認められない、との点である。 国連憲章51条 国連憲章51条(自衛権)では、「個別的又は集団的自衛の固有の権利」を有することが明記されている。固有の権利の「固有」は、英語では(Inherent)即ち「生まれつき存在する」である。仏語では(Droit Naturel)即ち、自然の権利である。日本の憲法解釈は、自分を守るための「個別的」自衛権は当然保有し行使し得るが、生まれながら保有している自然権である「集団的」自衛権は、保有はしているが、行使できないという。国益衝突の戦争であれば、私も、この解釈でよい、と思う。 しかし、時代が変わった。戦争の概念が変わった。人類益を守るための戦争であれば、当然集団的自衛権は認められてよい。憲法9条の解釈は、前文の憲法理念を十分考慮してなされなければならず、政策論によって左右されてはならない(東京地裁 昭和34年3月判決)と言う。その通り、だと思う。 しかし、テロとの戦い、ミサイル防衛、人道復興支援などの新しい事態に平和国家日本として対応するためには、集団的自衛権という本来国家が有している自然権は、当然認められてよい、と確信する。しかし、集団的自衛権によって守られるべき法益が、他国の国益のみであるとすれば(同盟国であっても、侵略戦争をしている)、新しい時代の日本に認められる集団的自衛権は、行使できない。このような立場を世界的に明らかにしたうえで、日本は集団的自衛権を行使し得る、との解釈をすべきである。いつまでも、「後方地域支援」とか「非戦闘地域」などの天才的造語に頼るべきではない。 |
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