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(2006年) 平成18年11月8日(火) |
貸金業法改正案について思う |
多重債務者が増える。 消費者ローンの利用者は、1990年には950万人、しかし今では倍増の1700万人と推定される。特徴は、自己破産者が急増していることである。同期間で自己破産者は1万1千人から、18万4千人となった。すなわち、消費者ローンの利用者は、1.8倍増えているのに対し、自己破産者は16.7倍と驚くべき増加である。 なぜこれほどまでに消費者ローンが増えてきたのか。今、基本的に問題の対応策を考えなければならない。日本人が、今、にわかに享楽的になって、競輪や競馬、パチンコにうつつを抜かすようになったわけではない。怠惰になって、仕事をしなくなったわけでもない。銀行にも見放され、やむにやむを得ず、消費者金融に走ったと言う側面を見逃してはならない。 そのやむにやむを得ざる事情とは何か。バブルの崩壊である。庶民の夢は、自分の家を持つことである。自分は今、働いている会社で一生働くとして、将来の月給の上昇も計算し、住宅ローン融資を受け、マンションを購入した。ところが会社は倒産。住宅ローンの返済はできない。マンションを処分して、全てを生産しようとしても、不動産価格は騰落している。絶対に潰れないといわれていた銀行すら倒産した。何百年に一度あるかないかのバブル崩壊で、銀行からの借金が払えなくなった。だから、やむを得ず消費者ローンに走った人もいるはずだ。借りたものは、返済しなければならない、とまじめに考えた結果の消費者ローンもあったはずだ。 金利は主役ではない それを多重債務者が増えたのは全て金利が高いせいにするのはいかがなものか。金利と言うものは、市場経済原則で決まるものだ。人為的に金利水準を決定することは、日本銀行でも無担保オーバナイトのコールレートだけである。公定歩合という言葉は未だに存在しているが、実態は行方不明である。もちろん借りての安心感のため、金利を国が決めておくことも大事だ。くどいけれどもこれは安心感のためだ。悪徳貸付業者をやっつけるためだ。私が言いたいのは、しかし、金利は主役ではないと言うことだ。 にもかかわらず、国が金利X%以上の貸付は違法であると言うのは、ビール大瓶一本を300円以上では売ってはならないなどと国が決めるのと同じである。ビール好きな人は喜ぶ。しかし、コストに会わないから誰も売らない。そのうちビール好きな人々を狙って、ビールを1000円で売りつける人々がでてくる。ヤミ市場だ。ビールは嗜好品だからまだよい。しかし、本当にお金に困っている人はどうするのか。ヤミ市場に頼らざるを得なくなるのではないか。 金利は、あくまでもお金の需要と供給の関係で決まるものだ。情報が行き渡らなくて、ヤミ市場から高い金利でお金を借りる人がいる、つまり、妙な電柱広告にだまされる人がいることである。それは消費者ローン市場の未成熟さを意味する以外の何者でもない。 問題の本質は、悪徳業者の追放である。金利は主役ではない。警察が主役である。今回の議論で金融庁が主役のごとく振舞ったが、全くのお門違いであろう。多重債務者をなくすためには、まず、警察が悪徳業者の追放に全力を挙げるべきなのだ。 貸金業も市場経済原理の元で 日本では、銀行は経済的インフラを構成するものであるから、正当な仕事であり、それ以外の貸金業者は「高利貸し」と考えられ、何かが起きると悪者扱いにされる。そして悪者をたたくと人気者となると言うポピュリズム政治の犠牲となる。心理的な感覚的問題だけではない。現実のほうの扱いに誠に不思議なことが多々ある。 @第一に、延滞遅延金である。現在出資法の最高金利は29.2%であるが、かりに29.2%でお金をかりた場合は、全く払わなくても良いのだ。つまり、29.2%の金利で永久に借金することができる。今日の法律改正で金利の上限が20%となると、20%(現状では10万円以下の借金)で借金すると、期限後は罰金は無いのだ(18%で借りた場合は2%が延滞利息金となりうる)。 AIT時代だ。貸金業者と消費者との間の契約もIT化されると、それだけコストが安くなる。それを認めないから、今回もグレーゾーン問題が起こり、多大な返還請求が出てきた。これも銀行には認められているが、消費者金融に認められていない。消費者金融は継っ子だ。 グレーゾーン廃止は当然のこと 今回、自民党内での議論で、グレーゾーンの廃止には誰もが異議を唱えなかった。当然のことである。私も、なぜグレーゾーンがこれほど長く続いてきたのか、もう少し早く廃止ができなかったのか、反省している。 問題は、貸金業者と消費者との間の法律関係の安定化である。そのためには、ルールの透明化・情報共有を図る必要がある。 反省点は? マス・コミのポピュリズム・正義感に惑わされず、問題の本質を基本的・長期的・国際的に検討すること。特に、市場原理、自己責任、透明性の見地から処理することが大切である。 @悪徳業者追放の主役はあくまでも警察。 A悪徳業者が市場に参入してこないように、貸金業を厳格な条件のもとに免許制にすること。 B借りすぎは本来消費者の自己責任の問題ではあるが、貸し金業界でも借り過ぎをウォッチするための情報共有ネットワークを構築すること。 |
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