(2006年) 平成18年9月28日(木)
忍び寄る無層化社会の恐怖

1.格差社会という場合、切り口は二つある、と思う。

(1)第一は、階級社会であり、国民の階級を仕分けるのは、身分と職業だ。典型的な例は、イギリスの階級である。@上流階級は、国王、貴族、大地主である。A下流階級は、労働者。そしてB弁護士を含めて事務的な仕事をしているものは、中流となる。カースト制のインドもまた階級社会である。
 幸い、日本は、江戸時代を除いて、階級社会ではない。

(2)第二に、しかしながら、今問題となっているのは、カネの切り口である。すなわち、所得格差の問題だ。どの国にでも所得格差はある。問題は、@透明な競争社会をつくり、参加者には、平等な機会が得られる社会をつくることである。しかし、透明な競争社会では、必ず勝者と敗者がでる。敗者にどのような復活の方法(トランポリン)があるのか。もう一つ、単純ではない、しかし深刻に取り組まなければ日本の若者が未来に希望を失ってしまうものがある。それは、結果の不平等(敗者、換言すれば所得の少ないもの)が、機会の不平等を招くという問題である。つまり、おカネがなければ(結果の不平等)、よい教育が受けられない。よい教育が受けられなければ、思い通りの就職ができない、ということである。
 われわれは、基本的に、詰め込み主義という今の学校教育方針を見直さなければならない。と同時に、奨学金制度を、貸与方式から給付方式と変更していかねばならない。

(3)以上のように、日本の格差問題は、カネの切り口から見たものであり、解決策は、@社会保障制度(所得再配分の問題)、A教育改革、B再チャレンジ支援(職業訓練などのシステム)等の政策を充実していくことである。

2.しかしながら、今、日本の社会に不気味に忍び込みつつあるのは、日本の若者が帰属意識を失いつつあるという現象である。それは、階級社会ではない。所得格差社会とも呼べない。世界史上初めての無気力社会である。
 もともと、日本人は、無個性、集団主義、閉鎖的な民族ではなかろうか。しかし、反面、それは、仲間と同じ価値観を共有することができ、仲間と調和することができるという特色を持つ。だからこそ、日本にとって欧米のような手本があった時代には、「身を立て、名を上げ、やよ励め。」と国民が一丸となって働いた。経済成長時代にも経済成長時代にも欧米のように大きな給与格差がないにもかかわらず、社長や重役を目指して若者はがんばった。
 今の日本では、若者はがんばらなくても、好きに暮らして生きていける。就職しない若者が増えた。フリータなる新しい種族が生まれた。パラサイトシングルと呼ばれる、生活は親頼りで人生をエンジョイする若者が出てきた。これでは国も人も将来は不安だ。

3.今、日本や若者の将来のことを考えると、政治家として、次のことを真剣に考えるべきである。それは、先に述べた、格差社会の問題点を解決するための@社会保障制度の改革、A教育改革、B再チャレンジ支援策も重要であるが、それ以上に我々としては心に置かねばならないと思う。
 第一は、帰属意識の回復である。日本人であること、○○家の一員であることの意識は、必ず国を愛する心、人間愛、家族愛につながる。それは、社会的犯罪を追放し、国を守る日本の安全保障につながり、ふれあいに満ち溢れた人間の幸せを招来する。
 第二に、グローバル化の時代に、日本人であるという意識を持ちつつ、国際的に活躍できる人間を目指すべきである。国際的に活躍する日本人が増えれば増えるほど、日本の輝きが増す。若者の夢が膨らむ。
 第三は、スペシャリストを目指すことである。ナンバーワンではなくて、オンリーワンだ。若者が誇りを持って努力できる世界がそこにある。

 若者よ!夢を持とう。しかし、夢は見るだけでは不十分だ。夢は、実現するものだ。政治は、若者の夢を実現するためのサポータの役割を十分果たしていくため、上述の課題に取り組んでいかねばならない。


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