(2006年) 平成18年8月28日(月)
家族の絆〜祖国愛のないところに国の繁栄もなければ安全保障を語ることもできない

家族というものは、一般的に何人くらいで構成されているのだろうか。政府の言う標準世帯は、夫婦と子供二人の四人で構成されているという前提である。今、この前提が大きく崩れた。五十年前には、一世帯の構成員は五人弱(4.97人)であったが、今は2.7人程度である。単身の世帯は同じく50年前には30世帯に1つであったが、今は5世帯に1つ。2020年には、3世帯に1つが単身世帯になるものと予想されている。

3世代同居のマンガ「サザエさん」は、今何処へ行ったのか。50年前には、3世代同居は37%であったが、今は14%しかない。私の子供の頃、学校を終えて家に帰れば必ず祖母か母がいた。「ばぁちゃん、遊びに行ってくるよ」とカバン(終戦後でカバンは布製であった)を放り出して、海辺へ遊びに行った。遊びつかれて夕方帰宅すると、貧しいながらも食事の用意はできていた。祖母と母の共同作品であったように思う。そこへオヤジも帰ってきて、一家そろっての夕食である。食卓の上は貧しかった。しかし、そこには「しつけ」があった。親子の「ふれあい」があった。

その後、日本は高度成長を迎え、若者は単身で東京へと働きに行く。企業戦士の帰宅は遅くなり、家族同士の会話やふれあいは少なくなる。労働力の不足から女性が働きに出る。家族がテーブルを囲んで祖母や母がつくってくれる夕食を、おしゃべりしながら頂く時代は終った。1人ぽっちでテレビを見ながらコンビニ弁当を食べる時代。子供たちも家族揃ってご飯を食べる機会が少なくなってきた。

このような状況を踏まえて、政治家として何を一番心配しなければならないのか。人間愛、家族愛をどこで教えたらよいのか。人間愛や家族愛は、ふるさとを愛する気持ちに繋がる。祖国愛のないところには、国の繁栄もなければ安全保障を語ることもできない。「しつけ」はどこで学べばよいのか。「しつけ」というのは、社会の中で個人が如何に生きるか、いわば「公共学(civics)」の問題である。人間がふるさとを愛するこころや社会の中で生きるための「しつけ」を学ぶということが家庭や地域社会から全て学校へ丸投げされており、学校が戸惑っているのが現状である。

教育という川の流れがあるとすれば、曽野綾子先生のおっしゃるとおり、最初の清冽な一滴は家庭である。そして、その川の流れを常に見守り補ってくれているのが家庭と地域社会であり、学校は、その川の流れを一時堰き止めて次に流れるときには更に勢いよく流れさせるために、知識も教えるが考えることももっと教えるところではないのか。

このようなことを考えると、今、政治の大きな課題は、家族政策と教育だと思う。

(1)家族政策
家族政策は、社会保障のあり方とも関連することは言うまでもないが、ここでは社会保障論に深入りせず、家族政策の方向性のみを議論したい。
@ 家族数が多いほど、所得税が有利となるよう、いわゆるフランスのN分N乗方式の採用を検討する。
A その際、3世代同居を促すため、特に祖父母と同居する場合には所得税の支払いを更に有利となるよう設計する。参考までに、お年寄りの自宅での死亡は、50年前は77%であったが、現在は4%にしかすぎない。
B 相続財産は、均等割ではなく、被相続人と同居する相続人に特に有利となるよう設計する。

(2)教育
@ 義務教育過程において、夏休みなどに農村・漁村でこども達が数日間、集団生活を送れるようなことをカリキュラムとして考える。自然とのふれあいを通じて、自然の神秘さを学ぶと共に好奇心をもたせる。また、子供同士の助け合いを学ばせる。
A 地域社会の「おまつり」を振興し、その中でふれあいを覚えさせる。

子供の「でき」が悪いと、「学校」が悪い、家の前に「ゴミ」がたまると、「役場」が悪い、という。今、日本は悪いことは全て他人の「せい」にするようになってしまった。高度経済成長の「ツケ」なのであろうか。個人と集団、権利と義務、自由と規律など、人間が集団の中で生きていくための当然の規律を子供たちは身を以ってわかってほしい。

なぜ自分はこの家族の一員なのか。なぜ日本人として生まれたのか。なぜこの故郷で生まれたのか。神の思し召しのようなことにも思いを寄せてもらいたい。「なぜ、リンゴの実は木から落ちるのか」との科学する好奇心にも目覚めてもらいたい。

規律・愛・好奇心にあふれる子供たちの教育が、日本の未来を決める。


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