(2006年) 平成18年8月20日(日)
消費税について考える

1.構造改革

小泉内閣が推し進めてきた構造改革は、日本の行政システムを効率化することが目的である(@政府から民間へ、A中央から地方へ、B規制緩和の促進、の3つのスローガンに代表される)。行政システムの効率化という面では、日本は世界の先進国に較べて1周も2周も遅れているから、構造改革は当然のことである。そして、前述の3つのスローガンの背景にあるのは、透明性(トランスパレンシィ)という哲学である。

システムが透明であるから、@誰でも参加できる。あるいは、参加できない条件を明確にしておくから、公平性が確保される。Aなぜ、この仕事に規制があるのか(逆にないのか)、この仕事は中央が実権を握っているのか、民間でやれないのか、国民の批判にさらされ、そのことが構造改革の流れをつくる。行政の許認可制度が見直される。Bコストを安く提供するものが勝つ。合理化競争が促される。もはや談合は許されない。

従って、構造改革とは、システムを透明化することにより、公正と競争に基づく資源の最適配分を図る事である。換言すれば、いかなる国であっても推進すべき事が構造改革であり、構造改革は"主として"「市場経済原理主義」の考え方に基づいて断行されるべきものである。そして、今"主として"と言ったが、対象となる仕事は、公的な仕事であるから、「安心」「安全」のための規制、国としてやるのか、地方としてやるのかの振り分けの問題があることを念頭に置かねばならないからである。

以上の構造改革という意味で、郵政民営化、三位一体改革、行財政改革等で、小泉内閣は成果をあげてきた。

次の課題は、外交安保、教育、社会保障、財政。

次の内閣の課題は、構造改革という物差しでは律し得ない(あるいは取り残された)問題にどう対処するかである。即ち、@外交安保、A教育、B社会保障であり、構造改革と同じ路線を走るものではあるが、上記3つの問題の対応によっては、在来線から新幹線に乗り換えなければいけないほどの大きな問題を抱える財政再建の問題である。私は従って、今の課題は@外交安保、A教育、B社会保障、C財政再建の4つであると思う。言い換えれば、これらの問題は、市場経済原理主義の物差しでははかれない。人間の幸せや社会の安心という物差しではかるものなのだ。これまでは「カネ」の切り口で政治を考えてきた。しかしこれからは「幸せ」の切り口で政治を考えるべきである。「カネ」の切り口の世界では、「大きな政府か」あるいは「小さな政府か」、と問われれば、答えは「小さな政府」となるのは当然である。しかし、「幸せ」の切り口(安全・国や人を愛する豊かな心、どんなことがあっても安心できる社会)で考えた場合、大きな政府・小さな政府の選択は政党の考え方による。大きな政府と言った場合、それは無駄遣いという意味ではなく、セーフティ・ネットの大きさを意味することとなる。しかし、セーフティ・ネットを大きくすれば、当然、財政の裏打ちがなければならない。

2.財政再建

これからの課題として、外交・安保、教育、社会保障の3つをあげたが、その中で大きく財政問題とかかわるのは、社会保障問題であろうことは言うまでもない。現在、2010年代初頭のプライマリ・バランスの黒字化に向けて、財政再建を進めている。財政再建は、基本的・長期的・国際的な視野から考えておかねばならない。

 日本の大幅な財政赤字を考えるとき、次の点を基本的に考えておく必要がある。@国の借金は、殆ど全て国民からのものである。A日本の税と社会保障の国民負担率は、国際的に見て低い。B従って、国民負担率の引き上げをどう考えるのかがこれからの大きな問題となる。

3.消費税の引き上げ

基本的な考え方
社会保障費との関係で、財政再建路線を在来線から新幹線に載せては知らせるには、消費税の引き上げしかない。以下、その理由を述べてみよう。

@社会保障は、いわば自助努力もさることながら、全ての世代がお互いに支え合うものであるから(自助・共助・公助)、お互いの助け合いの精神が大切である。現在、消費税は税収の約20%を占めているが、消費税は助け合うという精神に最も近いものである。社会保障を含め、公正、弱者救済など「フェアネス」の哲学は、歳入面よりも支出面で達成すべきである。A消費税は、経済活動に中立である。また、所得税に税収を依存する事となると、勤労世代に過度の負担をかける。これは、少子高齢化社会にはふさわしくない。B安定的な税収構造が確保される。

反面、消費税のマイナス面として、当然考えなければならないのは、その逆進性である。しかし、社会保障というのは、お年寄り、身体の不自由な方々、病気の人、失業者、所得の低い人のためのものである。歳出面で施策を行うのであるから、逆進性のゆえをもって消費税のメリットを打ち消してよいのか。今まさに、歳入面はシンプル性、公正(公平ではない)性、国際性、効率性からシステムを作り、歳出面で政策を実施していく方向に切り替えるときである。

税率構造

消費税の税率は、現在5%である。単一税率である。これをどの程度まで引き上げざるを得ないのか。ヨーロッパのように20%を超える場合は、当然食料品などには低い税率を適用すべきである。複数税率となり、これはやむを得ない。

私は日本においては、10%が限度であると思う。この場合にでも、食料品などについては据え置きを考えるべきは当然であるが、複数税率とすると、インボイス方式の援用により、税の支払い者側に負担がかかってくる。十分検討すべきことである。

事業者負税制度

現在、課税売上高が3000万円以下の事業者(全事業者の約6割)が消費税の支払い義務を免除されている。問題は、消費者は消費税を支払っているのに、国庫に収まっていないのではないか、との国民の不信感である。いかなるシステムを考える場合にしても、「透明性」は大きな問題である。先ず、法人事業者については、法律により、申告・記帳の事務を行っているのであるから、負税事業者とすべきではない。個人事業者についても、免税点は圧縮すべきである。消費税について、何よりも大切なことは、国民の信頼感、透明性、公平性であるから、同様の趣旨で**課税制度も排除すべきである。

目的税化

消費税は、全税収の20%を占め、基幹税であるから、目的税とすべきではない、との議論が多い。しかし、将来を展望し、構造改革のあとの最重要課題を解決するものであるから、負担と使途との関係を明示すべきである。



大野よしのり事務所ご案内
[東京事務所] [丸亀事務所] [観音寺事務所]
〒100-8981
東京都千代田区永田町 2-2-1
衆議院第一議員会館432号室
 [TEL] 03-3508-7132
 [FAX] 03-3502-5870
 [e-mail] g00994@shugiin.go.jp
〒763−0082
香川県丸亀市土器町東1-129-2
[TEL] 0877-21-7711
[FAX] 0877-21-7701
[e-mail] y.ohno-marugame@almond.ocn.ne.jp
〒768-0022
香川県観音寺市本大町1797-2
[TEL] 0875-23-1231
[FAX] 0875-25-9539
[e-mail] y.ohno-kanonji@almond.ocn.ne.jp

(C) Copyright 2004 Office Yoshinori Ohno All Rights Reserved.