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(2005年) 平成17年6月27日(月) |
ACCJでの講演 |
米国商工会議所(ACCJ)の講演会にゲストスピーカーとして招待頂いた。この講演会には米国の企業や大使館関係者、プレス関係者などが出席。大野は、日本を取り巻く安全保障環境について講演した。始めに最近話題になることの多い中国から切り出した大野。中国は日本にとって仲良くしていかなければならない重要な隣国であることは間違いないが、現在の中国は8%と言われる高い経済成長を背景に、前年比10%以上も軍事支出を増加させており、この状態が17年間も続いていると言う。さらに、透明性の問題があることも指摘されている。中国にはこの透明性を求めていかなければならない。その他、排他的経済水域(中国とは見解を異にしているが)の資源に関する海洋調査や、昨年起きた潜没潜水艦の領海侵犯問題など、注目すべき点がある。 また、政冷経熱と言われるように、経済交流は活発だが(日本の輸出の第二位、輸入の第一位が中国)国際政治関係はぎすぎすしている。歴史認識、靖国神社問題、日本の国連常任理事国入りなど種々の課題がある。これらの課題を解決するには多くの時間がかかるだろう。しかし何かを始めなければならない。 具体的解決策について、大野は、お互いの信頼関係に基づく人的交流が大切だ、と説く。例えば日米は先の戦争を通して激しく戦ったが、終戦と同時に友好関係を築いた。罪を憎んで人を憎まず、である。今、防衛交流の一環として、中国のマーチング・バンドを秋の自衛隊音楽祭りに招待している。小さな一歩かもしれないが、この音楽隊の奏でるハーモニーのように、両国の調和を実現する重要な礎になって欲しい、と大野は力強く訴えた。 ![]() 一方で北朝鮮は中国と違い明らかに安全保障環境の不安定要因である。核開発やミサイル、拉致問題などの対応を見るにつけ、極めて不透明な国であることが分かる。国際社会への復帰を促す事を第一に考えなければならない。この状況を改善するためには、経済制裁も考えなければならない、との声が日増しに強くなっている。また国連安保理で取り上げることも考えられる。しかし、6カ国協議が重要である。大野の頭の中には、各国の役割分担のイメージがある。米国は強いお巡りさん、日本は優しいが強くもなれるお巡りさん、韓国は優しい兄弟、中国は強くて優しい兄弟というものだ。北朝鮮が国際社会に復帰するよう国際協力が必要である。 続けて大野は、テロやゲリラといった新しい脅威にどのように対処していくのかについて、昨年策定した防衛大綱を中心に、ミサイル防衛など日本の防衛について触れた。さらに、国内外から高い評価を受けている自衛隊の国際活動について、軍事の新しい役割の重要性、ソフトパワーについて触れた。ソフトパワーという言葉は元米国防次官補のナイ氏が使い始めたものだが、強制力ではなく魅力を以って相手の共感を呼ぶ力のことだ。良い例がイラク人道復興支援活動、スマトラ沖地震での災害救援活動だ。自衛隊員一人一人が地元の部族や人々のために一生懸命活動する。その姿が地元の人々の共感を呼ぶ。そしてその共感に基づく感謝の言葉を人々から頂く。自衛隊員はその感謝の言葉を励みに更に精を出す。こうした好循環がお互いの信頼関係を築いている。まさに自衛隊によるソフトパワーではないか。 最後に、重要な課題である米軍再編について触れた。同問題は安全保障上の抑止力の維持と特に沖縄の人々の負担の軽減を、如何に同時に達成するかに尽きる。面積比にして全日本の僅か0.6%に過ぎない沖縄に、在日米軍の75%(施設面積比、人数比では60%)が駐留する。再編協議のなかで、米側は時に米軍駐留等による経済効果に言及するが、過去30年間の沖縄の県民所得が7.4%増えているのに対して、駐留軍等による経済効果は2.4%しか増えていない。言い換えれば、駐留軍等の経済効果の沖縄県民所得に対する比率が、30年前は確かに15.6%あったのに対して最近では5.1%に減少してきている。しかし、このようなことを議論するのではなく、日米が協力して、地域の平和と安定を構築することが大切だ。 この再編協議は今後の日米関係の100年を占う極めて重要なものだ、と大野は締めくくる。 |
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